私的読書ナビ −たまに読むならこんな本−

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2008.03.09 Sunday

『映画篇』金城一紀(著)

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    これは素晴らしい!帯紹介文に偽りなし。読み終えて爽やかな感動に包まれる幸せを味わいました。
    映画を通してオムニバスで綴られる物語が繋がったとき、とても愛おしい大事なものに。ああ読んでよかった、とシミジミ余韻に浸ってます。
    読み始めたら、とにかく最後まで必ず読みきってほしい。そうオススメしたい良作です。
    ・・・・・・・
    レンタルビデオ店の「ヒルツ」って、『大脱走』でマックィーンが演じた"独房王"の名前だよな、ってニンマリ喜んでしまう。(違ってたらご容赦)


    映画篇
    映画篇
    著者:金城 一紀
    扉画:鴨居まさね
    出版社:集英社(2007/07)
    ISBN:9784087753806

    >>>内容紹介
    物語の力が弾ける傑作!!
    笑いと感動で胸が温かくなる傑作ぞろいの作品集。『ローマの休日』『太陽がいっぱい』など不朽の名作をモチーフに、映画がきっかけで出会った人々の友情や愛を描く。

    2008.03.06 Thursday

    『ホテルジューシー』坂木 司 (著)

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      この方の作品は始めて読みます。”ミステリ”という謳い文句(というのは、後から知りましたが)ですけど、ライトファンタジーという感じでしょうか。まずまず楽しく読めました。
      沖縄のうらぶれたホテルでバイトすることになった主人公の女子大生が、奇妙な宿泊客が巻き起こす(巻き込まれる)出来事に、悩んだり、怒ったりしながら対応していきます。変わり者のオーナー代理や底抜けに明るいオバア従業員さんたちに振り回されたり、和んだりしながら。
      主人公の頑なさと成長っぷりが好ましい。
      少し辛口な見方をすると、全体のトーンが比較的明るい分、巻き起こる事件・出来事がちょっと重たいかなと。沖縄の持つ明るさと暗部、それを表現しているのかもしれないが。
      それにしても、登場する沖縄料理の旨そうなこと(特に”オニポー”)。


      ホテルジューシー
      ホテルジューシー
      著者:坂木 司
      ブックデザイン:石川絢士(theGARDEN)
      出版社:角川書店(2007/09)
      ISBN:9784048738002
      >>>内容紹介
      柿生浩美20歳。しっかり者ですが、それが何か?
      職場は沖縄C級ホテル、冷暖房一応完備、掃除アバウト、朝食激うま、そして・・・・・・注目の覆面作家がおくる、ひと夏の青春&ミステリ

      路地裏ホテルの名物は、がんばる女子と日常の謎!!
      大家族の長女に生まれた柿生浩美=ヒロちゃんは、直情で有能な働きモノ。だがこの夏のバイト先、ホテルジューシーはいつもと相当勝手が違う。昼夜二重人格の“オーナー代理”はじめあやしげな同僚達や、ワケありのお客さんたちに翻弄される日々。怒りつつもけなげに奮闘するヒロちゃんにさらなる災難が・・・・・・

      2008.03.04 Tuesday

      『異邦人』パトリシア・コーンウェル(著)

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        検屍官シリーズの最新刊です。
        第1作から読み続けて、気が付けば15作目ですか。
        正直なところ、ここ数作は”惰性”で読み続けてる感が否めません。
        あれほど魅力的だった登場人物たち、ケイ・スカーペッタ、マリーノ、ルーシーが、色褪せていく感じで(ベントンに関しては、もともと好印象は持っていなかったので、特に感想なし)。とりわけ今作でのマリーノの醜悪さには、ちょっとガッカリ、というかウンザリ。
        内輪のゴタゴタの描写が多くなり過ぎてないだろうか?そのあたりで集中が途切れ、散漫になっていくように感じる。
        とはいうものの、新作が出れば、やっぱり読むんだろうなあ。
        ・・・・・・
        このシリーズ、不思議なことに映画化・ドラマ化されてない(はず)。噂は何度か聞いたことがあるのだけど。



        異邦人 上 (1) (講談社文庫 こ 33-26)
        異邦人 上 (1) (講談社文庫 こ 33-26)
        著者:パトリシア・コーンウェル
        翻訳:相原 真理子
        出版社:講談社(2007/12)
        ISBN:9784062759151
        >>>内容紹介
        全米女子テニス界のスタープレイヤーが休暇先のローマで惨殺された。遺体はひどく傷つけられ、くり抜かれた眼窩には砂が詰め込まれていた。イタリア政府から依頼を受けた法医学コンサルタントのケイ・スカーペッタは、法心理学者のベントンと共に、事件の調査に乗り出した。検屍官シリーズ待望の第15弾。

        2008.02.02 Saturday

        『水滸伝 第十六巻 馳驟の章』北方謙三(著)

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          水滸伝 16 (16) (集英社文庫 き 3-59) (集英社文庫 き 3-59)
          水滸伝 16 (16) (集英社文庫 き 3-59) (集英社文庫 き 3-59)
          著者:北方 謙三
          出版社:集英社 (2008/1/18)
          ISBN:9784087462517

          >>>内容紹介
          「人には、志というものがあると知ったのだ。それは、躰を流れる血ではなく、心を流れる血だとな」
          史文恭(しぶんきょう)、闇から再来し、夢を奪う。

          梁山泊は戦によって、潰滅寸前にまで追い込まれていた。回復の時を稼ぐため、侯健(こうけん)戴宗(たいそう)が偽の講和案を持って高俅(こうきゅう)に近づく。また、晁蓋(ちょうがい)を殺した史文恭が再び動き出した。名を変え、商人になりすまし、次なる標的のそばで暗殺の機を待ち続けている。それに対し、公孫勝(こうそんしょう)袁明(えんめい)の首を狙っていた。堅牢な守りをかいくぐり、いま、致死軍が青蓮寺を急襲する。
          ・・・・・・・・
          北方水滸、暗闘の十六巻。
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          梁山泊と青蓮寺の関係は、幕末における倒幕の志士たちと新撰組に似ているように思う(新撰組は魅力的であるが、青蓮寺には嫌悪感、というのは言うまでもないけれど)。もちろん、その行く末は異なるのであるが。
          終盤を迎えたこの物語も、本巻では謀略や謀殺といった影の部分が舞台となっており、華々しい戦闘の中で見事に散って逝く好漢達の雄姿への期待からか、やや不完全燃焼気味。
          とはいえ、後半の行き詰るような緊張感は心地よく、また北方謙三には珍しく(少なくとも自分の中では、だが)コミカルなシーンもあり、新たな敵の出現と合わせて、十分に読み応えはあった。

          2008.02.01 Friday

          『水滸伝 第十五巻 折戟の章』北方謙三(著)

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            水滸伝 15 折戟の章(集英社文庫 き 3-58) (集英社文庫 き 3-58)
            水滸伝 15 折戟の章(集英社文庫 き 3-58) (集英社文庫 き 3-58)
            著者:北方 謙三
            出版社:集英社 (2007/12/14)
            ISBN:9784087462395

            >>>あらすじ
            「私は、もっと闘える。闘うべきなのだ。先に死んだ者たちのためにもな」
            花栄(かえい)の矢、神の速さとなりて敵陣を翔る。
            どの寨が崩れても、梁山泊は潰滅する。極限状況の中、各寨は必死の防戦をしていた。特に激しい攻撃に晒された流花寨(りゅうかさい)は、花栄らが死を覚悟して闘い続ける。しかし、官の水軍の進攻が始まり、それも限界が近づいていた。一方、宣賛(せんさん)は起死回生の策を考え出す。密かに李応(りおう)索超(さくちょう)扈三娘(こざんじょう)を北京大名府に急行させた。梁山泊の命運を握る作戦が今、静かに始まる。
            ・・・・・・・・
            北方水滸、危局の十五巻。
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            本格的な梁山泊掃討戦を開始した官軍、とはいうものの、官軍にはまだまだ余力がタップリある。それに対する梁山泊はギリギリの闘いを凌ぎきっている、という印象。
            好漢達は散ってゆく。一騎当千のつわもの達だが、圧倒的な兵力の差。戦い、ではなく闘いなのだと、シミジミ。

            2008.01.15 Tuesday

            『おまけのこ』畠中恵(著)

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              待ちに待った『しゃばけ』シリーズ第4弾の文庫版です。
              昨年、ちらりとTVでスペシャルドラマ化放映されました(しゃばけ)が、残念ながら観逃してしまいました。どんな出来だったんでしょうかね?
              (あやかし)の中でも鼻つまみ者の狐者異(こわい)の悲哀を描いた「こわい」は、なんだか切ないですねえ。今回収録の5作品は、なんだかシミジミとした人情時代劇風で、じんわりと響いてくるものばかりでした。
              第5弾は、やっと新刊版が出たとこですんで、随分と待たなきゃなんないんでしょうなあ。


              おまけのこ (新潮文庫 は 37-4)
              おまけのこ (新潮文庫 は 37-4)
              著者:畠中 恵
              装画・挿画:柴田ゆう
              出版社:新潮社(2007/11)
              ISBN:9784101461243

              >>>内容紹介
              一人が寂しくて泣きますか? あの人に、あなたの素顔を見せられますか? 心優しき若だんなと妖たちが思案を巡らす、ちょっと訳ありの難事件。「しゃばけ」シリーズ第4弾は、ますます味わい深く登場です。鼻つまみ者の哀しみが胸に迫る「こわい」、滑稽なまでの厚化粧をやめられない微妙な娘心を描く「畳紙」、鳴家の冒険が愛らしい表題作など全5編。じっくりしみじみ、お楽しみ下さい!
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              2008.01.14 Monday

              『熱球』重松清(著)

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                熱球 (新潮文庫 し 43-11)
                熱球 (新潮文庫 し 43-11)
                著者:重松 清
                出版社:新潮社(2007/11)
                ISBN:9784101349213

                >>>内容紹介
                甲子園に憧れていた。予選を勝ち進んだ。でも、決勝戦前夜の悲劇が僕と仲間たちの夢を断ち切った。二十年後、三十八歳になった僕は一人娘を連れて故郷に帰ってきた。仲間と再会した。忘れようとしていた悲劇と向き合った。懐かしいグラウンドでは、後輩たちが、あの頃の僕らと同じように白球を追っていた。僕も、もう一度、マウンドに立てるだろうか――。おとなの再出発を描く長編。
                <<<

                重松氏らしい作品。ついついそんな見方をしてしまうせいか、胸が痛くなる、ほどは迫ってこなかった。年代的にも、背景というか舞台となった地方的にも、非常に近しいものがあって、よくわかる、共鳴するものはあるが。
                この系統は、読むときの精神状態や自身の境遇、体調によって入り方が違ってしまうのだろう。しばらくして、もう一度読み返してみると、また異なる感想を持つのかもしれない。

                2008.01.04 Friday

                『仏果を得ず』三浦しをん(著)

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                  「文楽」って面白いかも!?

                  仏果を得ず
                  仏果を得ず
                  著者:三浦しをん
                  装画:勝田文
                  出版社:双葉社(2007/11)
                  ISBN:9784575235944

                  >>>内容紹介
                  直木賞作家が描く、伝統芸能の世界。主人公は太夫を語る大夫・健。人間国宝の師匠や変わり者の三味線弾きに鍛えられながら芸を磨く。芸に恋に悩みながら健は成長していく。傑作青春小説。“好き”が過ぎるとバカになる。でも、そんなバカならなってみたい。文楽に賭ける若手大夫の熱い青春の物語。
                  <<<

                  その存在は知ってはいるものの、実際には接することのない世界。伝統芸能・古典芸能というのは、そういう縁遠い世界の代表選手のようなもので。日本人でありながら触れることがなく、寧ろ外国の方々のほうが造詣深く興味を持って接してくださる。もっとも距離の近そうな歌舞伎ですら、そのような印象であり、勘三郎や幸四郎といった超有名な役者さんたちが事毎に「歌舞伎は、そもそも庶民のもの、大衆演劇なのだ」と仰っていますが、いやいや敷居の高いこと高いこと。TVでチラっと見ても「言葉がわからん、意味が解らん」と入り口でそのままUターン。それが「文楽」となると、もう端っから白旗状態で、そっちへ足を向けることすら考えたことがございません。
                  で、この『仏果を得ず』。もちろん、文楽の解説書・入門書ではなく、その世界に生きる青年の成長を描くものなのですが、お話の展開に合わせて(主人公の内面にシンクロするように)登場する文楽の代表作数々の一節とその解釈。これが、非常に解り易く面白い。耳で聴くと「サッパリ?」なのに、文字にすると意外に平易な言葉であることに驚いてしまいます。
                  小説としても抜群の面白さなのですが、「文楽を観に行ってみようかな」と、思わずその気にさせられてしまう一作なのでした。

                  2007.12.13 Thursday

                  『母恋旅烏』荻原 浩(著)

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                    母恋旅烏 (双葉文庫)
                    母恋旅烏 (双葉文庫)
                    著者:荻原 浩
                    出版社:双葉社 (2004/12)
                    ISBN:9784575509809

                    >>>あらすじ
                    レンタル家族派遣業というけったいなビジネスを営む花菱家は、元は大衆演劇の役者一家。父・清太郎に振り回される日々に、ケンカは絶えず借金もかさみ家計は火の車。やがて住む家すらも失い、かつてのよしみで旅回りの一座に復帰することになったのだが…。はてさて一家6人の運命やいかに!?
                    <<<

                    『オロロ畑でつかまえて』『なかよし小鳩組』『神様からひと言』と同じ路線で、ちょいと笑わせて、ジワリと泣かせる系です。(まあ、さすがに、涙することはありませんが)
                    レンタル家族という「ホンマ成り立つんかいな?」と思うような怪しげな商売(趣きは全く異なるけど、伊坂幸太郎氏『グラスホッパー』にも、こんなような家族ゴッコが出てくるな、などとふと思い出しつつ)、これを本当の家族で生業としている、なにやらワケアリの一家のお話ですが、前半はちょっと微妙な(途中で挫折しそうな)感じでした。
                    後半、ダメ父・清太郎が元所属していた大衆演劇一座に家族揃って復帰するあたりからは、次男・寛二をはじめとする子供たちの成長っぷりもあわせて、起伏に富んだ展開で、テンポよく進んでいきます。面白い。
                    その後の花菱一家が気になります。続編期待の一作でした。

                    2007.12.08 Saturday

                    『水滸伝 第十四巻 爪牙の章』北方謙三(著)

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                      水滸伝 14 (14) 爪牙の章  (集英社文庫 き 3-57) (集英社文庫 き 3-57)
                      水滸伝 14 (14) 爪牙の章 (集英社文庫 き 3-57) (集英社文庫 き 3-57)
                      著者:北方 謙三
                      出版社:集英社 (2007/11/20)
                      ISBN:9784087462296

                      >>>あらすじ
                      梁山泊は、威勝(いしょう)田虎(でんこ)の叛乱が青蓮寺の策略だと看破した。近くの石梯山(せきていざん)魯達(ろたつ)鄒淵(すうえん)らを派遣し、切り崩しを図る。
                      しかし、田虎に雇われた張清(ちょうせい)が、精強な傭兵部隊を率いて立ちはだかった。
                      一方、官は梁山泊の完全殲滅を決意する。禁軍・地方軍・水軍あわせて20万の軍兵を投入してきた。
                      兵力で圧倒的に劣る梁山泊に対し、空前の規模の攻撃がついに始まる。
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                      北方水滸、焦眉の第十四巻。
                      <<<

                      ついに官軍の大攻撃がはじまるわけですが、それでも総攻撃ではない、まだまだ十分にしかも無尽蔵の余力を残している。そういう圧倒的なチカラの差は歴然なのです。局所戦あるいは個の闘いでは梁山泊が勝利することもできるのでしょうが、いずれ巨大な波に呑み込まれていくことは必至なのでしょう。滅びの美学、というのは短絡的かもしれませんが、その悲劇性によって永く人々の心に残る、その志を継ぐ者を産み出す、そんな美しさを感じるのです。
                      さて、今巻でもまた、王進(おうしん)子午山(しごさん)の場が、ほんの少し描かれています。あの楊令(ようれい)が逞しく成長していることが微笑ましい。この子午山のシーン、そこに赴き受け入れられるまでを描き、成長の過程は敢えて説明せず、再度登場した時には自然にその過程を感じ取り納得できる、という描き方のように思えます。それがまた一層、この空間の穏やかさ、美しさを際立たせ、癒しを覚えるのです。

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